愛を語る


本を読んでいる彼にもたれるようにして、本を覗き込む。


彼の読んでいる本は、今ではあまり見ないものばかりだ。


「名前、君は愛とは何だと思う?」


並ぶ活字に眉を寄せ、視線を本から逸らした。


それと同時に彼から飛び出る問い掛け。


また彼はおかしな問い掛けをするものだ。


私はそう思いながらも考える。


愛、私にとっての愛…。


考えを巡らせる私を、何を言うわけでもなくじっと見つめる彼。


私は考えを纏めると、彼の目を真っ直ぐに見返した。


『色々な感情を引き出し、色々な考え方を教えてくれるもの』


そう答えると、彼は私の言葉を深くまで理解してくれたようだ。


彼の口角が目に見えて上がる。


「…成る程。僕にとって愛とは、興味が尽きないものだ」


彼は私の耳元でそう囁きながら、私の髪を梳く。


撫で付けられたり、彼の指にくるくると巻き付けられる髪。


一通り彼は私の髪を弄ぶと、髪を掬いそこに口づけを落とした。


ちゅ、と敢えて立てたリップ音に、私は目を逸らす。


「少くとも、後10年は興味が尽きないだろうね」


クスリと笑い、彼はそう言った。


つまり、私の事を後10年は好きでいると保障するということだろうか。


『…そんな言葉じゃ、いいように取るけど』


「何なら永遠を誓おうか?」


『馬鹿。永遠なんか誓えないくせに』


「君になら誓えるさ」


馬鹿、もう一度そう漏らして彼の横から立ち上がる。


『…私も、聖護になら誓える』


部屋を出て行く前にぽつりと言うと、扉を閉めた。


中に残された槙島は、名前の予想外の言葉に表情を緩める。


その顔から読み取れるのは愛しさと狂おしさだけだった。




愛を語る



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